
ワキのシワに添って切開しそこを裏返して、ワキガの原因であるアポクリン腺を切り取る方法です。現在、ワキガの手術の中でもっともポピュラー腋臭の原因(アポクリン腺)を取り除くため、腋臭の臭いを除去することが出来ます。
わきが(正式には腋臭症)は腋窩部毛包に付着しているアポクリン汗腺からの分泌物が皮脂と混ざり表皮細菌が分解することにより特有の臭いを生じます。 この臭いはエクリン腺からの汗の臭い(酸っぱい臭い、汗臭いと表現されることが多い)とは異なる特有の臭いがします。 まとめるとアポクリン汗腺の活動が強い→腋臭症エクリン汗腺の活動が強い→腋窩多汗症となります。ただこれらはしばしば混在します。

診断には初診時に実際に臭いを確認できれば診断は容易でありますが、症状が軽い方などは診察時に腋臭を確認できない場合があります。 この場合は問診が大切になってきます。
この方法は最も古典的でワキの皮膚ごと汗腺をとってしまう手術です。術後の傷、瘢痕も最大です。アポクリン汗腺のある腋窩部皮膚を長さ15~20cm、幅3~5cmの大きさで紡錘形に大きく切除する方法ですが、腋毛部全体を切除することは困難で中央部のみの切除となることも多くあります。
脂肪吸引器に取り付けた金属の管を数mmの切開部から皮下組織内に挿入し、吸引力によって皮下脂肪組織を吸い出す方法です。脂肪織内のアポクリン汗腺は確実に吸引できず、腋毛の再生とともにアポクリン汗腺が再生することが多いのです。さらにこの方法に高温を発生する器具を取り付け、真皮のより浅いところにあるアポクリン汗腺やエクリン汗腺を熱で破壊する超音波メスによる方法も開発されました。吸引法と比較すると治療効果は出やすいのですが、表皮直下の真皮に熱が加わりすぎると熱傷となるのでアポクリン汗腺・エクリン汗腺を完全に破壊することは困難なようです。なお真皮内の毛細血管は温存されるため、比較的軽い圧迫固定ですみ、手術後の回復も早いのが特徴です。腋毛残存します。
腋窩部皮膚のしわに合わせ1~3か所に長さ4cmほどの切開部から皮膚を指で反転させ小剪刀で少しずつ皮下組織を切り取っていく方法です。
腋窩部皮膚全体を厚さ1mm程度になるまでしっかり取り除くことができれば、アポクリン汗腺・エクリン汗腺が除去され効果も確実で術後に腋毛は再生しないのです。
なお術後はタイオーバーなどを用いた確実な圧迫固定が必要となります。
腋窩中央部のみの手術では周囲にドーナツ状に腋毛・汗腺が残りやすいので、時間をかけて腋毛部皮膚全体を、しっかりと行うことがポイントです。
しっかり行うと腋毛も無くなります。
カミソリの刃を取り付けた皮下組織削除器を2cmほどの切開から真皮直下の脂肪組織へ挿入し、腋窩部皮膚の裏側からアポクリン汗腺・エクリン汗腺ををまとめて削り取る方法です。
皮膚全体を厚さ1mm程度まで一気に削ることが可能で、アポクリン汗腺・エクリン汗腺が除去され腋毛もほとんど再生してこないため効果が確実です。
剪除法と同様に術後の確実な圧迫固定が必要となります。
アテナクリニックではこの手術方法で行っています。吸引法など皮下脂肪織のみの手術方法であれば真皮下層の毛細血管は温存されているため、皮下に血腫が起こった場合であっても皮膚の結構は保たれるます。 一方、確実な治療を目的とする剪除法や皮下組織削除法においては、皮下組織と真皮下層は摘出されてしまい真皮下層の毛細血管はなくなるため、皮下血腫が形成された場合には皮膚の壊死を引き起こすこととなります。 ただ剥離する層を間違えなければ血腫形成することはほとんどありません。 したがって薄くなった皮膚ほどしっかりとした圧迫固定と安静が大切となります。
術前に腋毛処理などを繰り返し行っていると、毛孔部に赤色の丘疹や膿疱が多発することが多い。 その場合には細菌感染を起こし皮膚の壊死を起こすことがあるので、手術前の腋毛処理は行わず清潔にしておくように指示しておいた方がよいと思われます。 また、残存する毛孔に細菌感染を起こすことがあるため、術後に痂皮などが消失した後には石鹸などでしっかりと創部を洗うことが大切です。 ただ腋窩リンパ節があるため余程、不潔な手術をしないかぎり感染は起こりません。
患者自身の体質に左右されるため術前に予防接種や水痘・外傷の瘢痕を確認し、瘢痕が目立っている場合には術後なるべく早期に治療が必要であることをあらかじめ説明しておく必要があります。治療としては圧迫療法・副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)やへパリン類似物質などの軟膏療法・ステロイド剤の局所注射・トラニラストなどの内服療法などがあることは言うまでもありません。
腋窩部皮膚は元来しわが多い部分であり、しわの程度は細かいしわが多い方、大きく深いしわが数本ある方などさまざまです。 特にもともとしわの多い方・皮膚に弾力のない方の場合やケロイド体質の方の場合には 術後に創部が硬く縮み、硬いしわとして残りやすくなるようです。 術後皮膚の拘縮が強い場合には、腋窩部皮膚を伸展すると予防できることが多いのです。
腋窩部は擦過しやすい部分であるので、もともと色素沈着がある方が多い部分です。 術後には赤味を伴う色素沈着が起こる事が多いのです。 特に残存する皮膚の厚さが薄いと色素沈着が強く出やすいのです。 色素沈着が残る場合がありますので、軟膏療法を行う必要もあります。
切除法以外の手術の場合には、皮表に毛孔が残存するため手術数ヶ月以降に面皰や粉瘤の形成をきたすことがあります。 細菌感染を引き起こす原因ともなるので術後は清潔にすることを心がけ、毛孔の開大を認めた場合には抗菌外用剤などを使用し感染の予防を行いたいが、粉瘤様の皮下腫瘤に対しては外科的摘出が望ましいのです。
皮下組織を除去する際に皮膚の表面に付着している知覚神経は切断されてしまうため、術後皮膚の表面や周囲に軽いしびれや違和感・チクチクした感じが残ることがあります。 また術後に腋窩部を強く圧迫した場合には、肘から先に一時的なしびれが生ずることがあります。 いずれも数ヶ月~1年程度で回復してくるのが通常です。